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この身は、そのためだけにある

何度も何度も声に出す。
何度も何度も君の名ばかり。
僕の声は、僕の唇は、僕の喉は、僕の肺は、僕の腹筋は、…僕の全ては、君の名を紡ぐためだけにあるのだと言わんばかりに何度も何度も。

そうして飽きることなく、もう数え切れないほどに君の名を口にして、だけど君を呼ぶことなんてできなかった。

何度も何度も君の名をかたどり。
何度も何度も君の名を言霊にする。
髪の先から爪の先に至るまで全て。全身全霊でもって君の名ばかりを口にする。何度も何度も何度も何度も。
何度でも。

ただ、そのままそうしていたかったんだ。


「駄目だ、待て!」

君の焦った声が僕を引きとめようとしたから、僕はどのくらいぶりかも分からないほど久しく、君の名以外の言葉を口にしたけれど。
それすら君を呼ぶものとなってくれたかどうかは分からないままだった。


生々しく生きてくれ。
剥き出しの様々なものを抱いて。
例えそれが鋭利な刃物だったとしても、そうすることでどれほど傷つき血を流したとしても。
それでも生々しく。生きてくれと願っている。今も。


何度も何度も声に出すは、やはり君の名だけ。
僕はいつか君の名以外の言葉全てを忘れてしまいそうだとふと思い、もしそうなったらどれほどしあわせなのだろうと浅はかにも想像して小さく笑った。

君に全部あげるよ。
とっくの昔に、僕の全ては君のものだけれど、改めて。
君がそれをどんなに嫌がったとしても、僕の全部を君にあげよう。
だから、どうか。生々しく、生きてくれ。
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