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昨日以上に。今日より更に。

きっと僕は、どこかで「それ」を諦めていた。
時の流れは人の心を、じわじわと。それと気づかせぬようゆっくりゆっくり変えていくことはとっくの昔に知っていたけれど、それでも、どんなに時間が流れても変わらないものだってあるのだということも知っていたからだ。

生まれ出でて、成長して、歳をとって。
大人になればなるほど、柔軟さを失って、意地とかプライドとかそういうものでカチコチに凝って、変えたくても変えられないことも増える。
その逆だってもちろんあるけれど、でも「それ」に関しては、時間が解決してくれるなんて欠片も期待していなかった。
「それ」のかたくなさを、痛いほど。そして愛しいほど知っていたから。

人は生きていくために、生きてきた過程で体験した様々なことを思い出にする。
思い出にしないと生きていけないのだ。
過去にあったことをまるで今体験しているかのように胸に抱いていたら、例えそれがどんなに幸福であたたかく優しいものであったとしても歩けなくなるからだ。
人は回遊魚と一緒だ。
動いていないと生きてはいけない。
きっと、呼吸すらできない。

悲しいことや、辛いこと。そういった重く胸の奥にのしかかるものほど、思い出という形に変換しなければ生きてなどいけない。
だから思い出にした。それは諦めと同じだった。
これ以上同じ傷を負いたくなかったし、同じ傷を負わせたくなかった。
諦めてしまえば、思い出にしてしまえば、表面上だけでも瘡蓋になってくれると知っていた。
内側がどれほど腐って爛れていようとも、蓋をしてしまえばもたせられる。生きていける。
僕らは大人になったのだ。大人として生きていかねばならないのだ。

だけど、僕のことなんて忘れてくれていいよなんて。
あなたが幸せになってくれさえすれば僕はそれで十分満たされるんだなんて。
そんなテンプレート通りの愛情深い言葉なんて嘘でも口にできなかった。
だって好きなんだ。
だって大好きなんだ。
僕は「それ」すら諦めて思い出にして、だけど、好きだった。なんて過去形になんてできなかった。
僕はきっとあなたを本当の意味で愛してなどいないのだろうと思う。
だって僕は、未だにあなたに対して無償の愛だけを注ぐことができない。
いやだと思ってしまった。
僕のあずかり知らぬどこかで、あなたが他の道で、あの頃とは違う幸せを見出して静かに生き、死んでしまうのがいやだったんだ。
エゴ丸出しのこの醜い感情は、愛などという小奇麗でふくふくとしたものでは決してない。

時間の流れは何より残酷で、誰より優しい。
いつだってそうだった。
完全に身を任せきることでなんとか呼吸を繰り返し生きて、それでいいと思ったこともあったけれど。
果たしてそれで本当に、僕は幸せなのだろうか。あなたは幸せなのだろうか。
分からない。分からない。分からないけれど。

一度諦め思い出にしたはずの「それ」を、僕は性懲りもなく求め求めて生きてきたことを、思い知った。
そして、二度目の思い出にいつかなると知っていて。
それでも求めて、胸に抱く。
愚かでも、馬鹿でも、なんでもいい。
きっと最初の傷とは違う傷を負うことになる。僕も、あなたも。
それでもいい。
だって好きだから。
だって大好きだから。

動いてないと、生きてはいけない。
きっと、呼吸すらできない。
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