スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

大きな胡桃の樹の下で

僕は今、樹齢何十年だか分からないけどとにかく大きな胡桃の樹の上にいる。
普段僕らが活動する地上よりもっとずっと高いところにあるこの場所は、当たり前みたいに風が少し強く、その分全てを吹き飛ばすのか空気が澄んでいるような気がして気持ちがいい。
春めく季節と連動してめいっぱい芽吹いた新緑の合間、どこかに巣でもあるのだろう。小鳥がせわしなく囀りながらあっちへ行ったりこっちへ来たり。
チュイチュイ、ルルルル、
耳触りのいい細く透き通った小鳥の歌をBGMに、僕は風を楽しむ。
高い高い、枝の上。

降りられないのではない。
まだ降りたくないのだ。

だというのに、僕の居座る樹木の真下、心配そうにちらちらこちらを見上げてはうろうろ。おろおろする人物。
まるで自分が高い樹に登って降りられなくなってるみたいに、不安げな顔。
…が、僕の足下ずっと遠くにある。
はぁ。僕は深く長く溜め息をついた。

「ちょっと、邪魔しないでよ。降りたくなったら自分で降りるから。どっか行ってて。ひとりになりたいんだ」

「でも、…危ないよ」

「大丈夫だよ」

「風も強くなってきたし、落ちちゃうよ」

「大丈夫だってば」

僕が何度大丈夫だと繰り返しても、彼はちっとも安心しない。
不安げに、心配げにうろうろ。ちらちら。
鬱陶しいなぁ、と僕がぼやくのと、もう降りておいでよ、と彼が情けない笑顔で僕を呼ぶのはほぼ同時だった。



(一旦停止)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。