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天使か、それとも悪魔の類か。

まるで誰より余裕という名の衣に全身をくるみ守られているようだとどこか冷静に思う。
その稚拙さに似合わなぬ緩やかさと滑らかさで伸ばされた指先は、穢れを知らないようで恐ろしく狡猾だ。
それに一度でも捕まってしまったら、僕が積み重ねて作り上げてきたもの全てが容赦なく突き崩されるような気がして、僕はひくりと僅かに顎を引くことで逃れた。
眼前、僕が引いたことに気づいたのだろう、伸ばされる手が途中で止まる。
だけど元々予想してたのか傷つく素振りもなく薄い唇の端が持ち上がり、大きな瞳がゆるりと細まった。
獲物に焦点を引き絞る猫のように無邪気に、どこまでも残酷に。

…子供は怖い、とふと思う。

妙に生々しい剥き出しの本能が見え隠れ。そうして自分の欲求をさらけ出すことでこちらの抑制すら外そうとする。
そのくせまだ様々な知識や経験がない分眼球も曇ってないから、大人がひた隠しにしようとしたものから見透かしていく。
好奇心の塊なのだ。いい意味でも、悪い意味でも。
我慢という抑制の壁なんてない。だから中途半端な大人は簡単に追い詰められる。

…僕のように。

今更軽薄さを装うとしたって無駄だ。
だからって冷静沈着さを建前にしたって変わらない。
僕はあまりに至近距離にある生き生きとした、恐ろしいほどの集中力でどんどん透明度を高める両目から眼をそらす最後の悪足掻き。

「幼いということは、それだけで罪だ」

眉間に皴を寄せ、できるだけ忌まわしいことのように僕は呟くけれど。

「その罪を作り上げるのは大人だ」

天使か悪魔かすらも区別のつかない不可思議な存在が、無垢でありどこまでも爛れた笑みを滲ませ、余裕という名の衣の一欠すらいつのまにかなくした僕の肩に爪を立てるだけだった。
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