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僕らはまるで植物を育てるようにして

君は今にも泣き出しそうな顔をして首を傾げる。
どうして皆は僕にそんなに優しくしてくれるの?と。
その両目はとろりと甘やかに溶けて、それでいてまた愚かな僕らを責めるようでもあったので、僕は胸の奥底を見透かされないよう目を細めて微笑んだ。
それはね、君が手にした以上の優しさをこんな僕らにまで惜しげもなく真っ直ぐ満遍なく注いでくれたからだよ。と。
強いるでもなく、手抜くでもなく、見返りを求めるでもなく、君は上手に受け取ることもできない僕らにただただ沢山のひたひたと穏やかであたたかい優しさをくれた。
僕らはその種を胸に抱き、途方に暮れた。
だって僕らの胸の土壌は元から痩せ衰え、君から貰ったあらゆる希望に満ちた瑞々しい種を育てる自信なんてちっともなかったのだ。
だけど僕らには君からもらった種をそのまま枯らせる勇気も、腐らせる勇気もなかった。
それは勇気とは少し違うものなのかもしれない。
単に、小心者だっただけかもしれない。
人からこんなにも無条件に注がれることに僕らは慣れていなさ過ぎただけかもしれない。
恵みの雨を待つこと、耕してくれるミミズをはじめそこここで支え合い育み合う小さな生命たちと共に生きること、ふくふくとあたたかい肥料を捜し求め歩くこと、単に何かを命がけで大切に守り抜くことに対して憧れのような感情が掠れ残っていたのかもしれない。
未だにはっきりと理由が分からないままだけれど、僕らのこんな枯れた土壌ですら、君がくれた種は力強く芽吹き、だけどどこか儚く華奢な双葉を広げるから、大事にしなくちゃいけないとどこか縋るように強く思ったんだ。
いつかこの芽が育ち実を成すような奇跡が起こってくれたなら、手に入れた全てを君以外の誰に捧げるべきだと言うのだろう。
僕らは君から優しさの種を沢山貰い、胸の奥枯れた土壌ですら育てられるかもしれないという可能性を知り、そのあまりの喜びに竦み上がるほど慄いたのに。
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