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洗いましょう、雪のように白くなるまで。

肘の先から滴り落ちた水滴は、むき出しの足の甲の真上で弾け飛んだ。
小さな雫ひとつの行方すら満足に見送れないまま、少しくすんだ鏡に映る途方に暮れた情けない顔ばかり見ていた。

ありとあらゆるもの全て、洗えば奇麗になると思っていた。
石鹸で。洗剤で。シャンプーで。ボディソープで。オイルで。洗顔フォームで。
何度も何度も丁寧に洗い続ければいつか、どんな汚れも水と一緒に排水溝の奥深くに流れて行ってくれるものだと。
光に透かせば向こう側が見えるほど薄く薄く、真っ白に。
いつかなれるものだと。
いつか戻れるものだと。

いつの間にか勝手にそう信じきっていたのだ。

いつかばれる稚拙な嘘を紡いだのも、それに騙されたふりを続けたのも、他の誰でもない自分だったことも忘れたふりをして。
洗って洗って洗って洗って洗って洗って、そうすれば嘘でもいつか、と。
必死に願っていたのだって、他の誰でもない自分だった。

手が痺れるまで擦り切れるまで洗いましょう。
いつか雪のように白く儚いほど清廉になれるのだと信じきったふりをしたまま。

洗ってください、などと他者に願うことなどもうできないのだから。
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