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ひとり、素足で立ち尽くす「今」。

あなたは酷い。
優しい瞳のまま、僕に迷うなと言う。迷わず殺せと言う。
一度では飽き足らず、二度も殺せというのか。
あの痛みを、苦しみを、悲しみを、もう一度味わえというのか。
僕に、またあなたを殺せというのか。

あなたは酷い。
目をそらさず、僕に早くと言う。早く殺してくれと言う。
一体どれほど僕に残酷な願いを投げつければ気が済むのだ。
僕の中から息づくあなた全てを抹消しろというのか。
僕に、またあなたを殺せというのか。

完全なる忘却が死とイコールで結ばれるとしても、たったそれだけのことさえ僕にはできない。
全細胞の崩壊を死とイコールで結ぶとしても、単に存在を確かめられなくなることを死とイコールで結ぶとしても。
僕にはもう、どんな死もあなたに捧げることはできない。
あなたを殺すことなんてできない。
僕はあなたが思うほど、強くなんかない。

人は死ねばそれまでだ。
死んだ者にとって天国も地獄もない。
それらは残された、生きている人間のためだけにあるものだ。
いつもどこかで見守っているだと?
きっと今頃天国で幸せに暮らしているだと?
そんなもの、生きてる人間が自分たちを慰めるためだけにつく嘘のようなものだ。
残された者たちが生きていくためだけに想像する幻のようなものだ。
僕にそんな嘘をつけというのか。
僕にそんな幻に縋れというのか。
あなたは全て知っている。
知っているのに。

あなたは酷い。
また僕にあなたを殺せと言う。僕の中からあなた全てを消せと言う。
僕に、俺の望みを叶えてくれと懇願する。
そうしてあなたが求めていた完全なる死を手に入れたとして、その次の瞬間から僕は一体どうして生きていけばいい。
あなたを一度ならず二度も手にかけた僕は、あなたの血液、肉片で穢れた両手をぶら下げて、一体どこに行けばいい。
あなたは問い詰める僕に答えもくれずただ、殺せと繰り返した。

あなたは酷い。
言葉にせずとも伝わる感情全てで、僕に愛してると囁く。愛していたと呟く。
だけどその言葉を絶対に口にし言霊として僕に伝えようとしなかったのは。最後の最後までしようとしないのは。
そして過去形にしてしまおうとすらするのは、今この瞬間につつがなく僕に殺されるためだ。たったそれだけのために、あなたは僕どころか自分すら騙して傷つける。
この手をまたあなたで汚せと。そしてあなたがいない世界にたったひとり、生きろというのか。
僕はあなたを愛することさえ許されないのか。

あなたは酷い。酷すぎる。
僕にはもう、どんな死もあなたに捧げることはできない。
あなたを殺すことなんてできない。
僕はあなたが思うほど、強くなんかない。
僕はただ、一生懸命ひたすらに、あなたを愛したいだけなのに。

今でも愛してるよ。
あなたの言葉は言霊になることもなく、だけど確かに、僕の胸を締め付けた。
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