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ギザギザ

可哀相に可哀相に。
切り刻まれたのが過去の夢だけだったら良かったのにね。

一生懸命抗って、喘ぐ呼吸のようにギリギリのところ。
織り上げた縦糸と横糸の目を指先で辿り確認するように。
ただの薄っぺらい一枚の布はそれでも、目を凝らせば一本の細い糸の重なりだけでできているという、その途方のなさに慄く。
例え同じ糸、同じ色をチョイスしていても、織り方ひとつ変えるだけで全く違うものになってしまうことにも。

幾ら織っても重ねても、広げることをしなければそれはただの糸の重なり。
草木を搾って染めたとて、淡いグラデーションを知ることもできない。

今も変わらずひたすら僕と同じものを求め続けているはずなのに。
君はまた、見当違いな方向へと手を伸ばす。

そんなに必死に凍え震える指先を伸ばしたって、そっちに僕の、君へ精一杯伸ばした手はない。

そっちじゃないよ、こっちだよ。
呼ぶ僕の声はまだ、ギザギザのそれを抱く君にはきっと届いていない。

可哀相に可哀相に。
切り刻まれたのが今の世界じゃなければ良かったのにね。