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初冬のうた

見るともなしにぼんやり窓の外を眺め、何度目か分からなくなりそうなほど繰り返した季節を指折り数える。
去年の今頃は何をしていたかな、なんて、考えない方がいいと分かっていながら、それでも。
ぼんやり、窓の外に記憶を探す。

去年のことを随分昔のことのように感じるのは、いいことなんだろうか。
それとも、悲しいことなのだろうか。

「何してんの、そんなとこで」

寒くないの、と君は笑う。
そんなことないよ、と僕は嘘をつく。
何が見えるの、と君は問う。
夜の闇だけだよ、と僕はまた嘘をついた。

一年を過ごすことはいつも、高校を卒業した辺りからとても早く感じていたけれど。
今年一年はなんだか色々ありすぎて、もう覚えてないよ。
そう、僕は僕に嘘をついた。

眠くないの、と君は言った。
うん、そろそろ眠いね、と僕はまた君に嘘をついた。
先に眠ってて。すぐに行くからと。
分かった、と君は僕の嘘に気づいているのかいないのか、曖昧に頷き殊更ゆっくり瞬きをした。

僕は生きてきた数十年の間、君と出会う前も、出会った後も含め、一体何度、自分と、君に嘘をついてきただろう。

少なくとも今年だけでかなり嘘をついたことになるな、なんて、考えない方がいいと分かっていながら、それでも。
ぼんやり、冷えた窓に映った自分を見やった。
ただの嘘をついたことと、自分に正直に生きるためについた嘘は、どのくらいの違いがあるのだろう。

おやすみ、と君はあくび交じりに呟いた。
おやすみ、と僕は今日初めて君に、嘘以外の返事をした。

窓の外はもう、すっかり冬の夜。
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