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深き深き土の下より、呼ぶ声は

その刹那、踏みしめたスニーカーも靴下も何もかもを透かし、素足の裏を伝い、真っ直ぐ昇りあがるように、それは聞こえた気がした。

気のせいだと笑えば、それまでだった。
気の迷いだと吐き捨てれば、そこで終わるはずだった。

「…誰だ?」

俺を呼ぶのは?

刹那、耳を澄ませ返事を返してしまった時点で、全て台無しにしてしまったのは俺自身だ。

俺はそれが一体どこから聞こえたのか分かっていて尚、どこかで信じたくなくて、ついきょろきょろと周囲を探した。

「どうしました?」
彼女がこちらを訝しげに見やる。
今の声が聞こえなかったのか?
そう問うことすら躊躇するほど、彼女の視線はいつも通り過ぎた。
それに、俺はその声がどこから聞こえたのか、以前に、その声が音声として空気を伝い、俺の鼓膜を震わせたものではないことくらい、とっくに気づいていた。
彼女に聞こえるはずもないのだ。

声は直接、全てを透かすように俺の素足の裏から、骨よりもっと内部の体液を伝い脳へ昇りあがってきたものだ。

他の者には届かぬその声は、確かに俺を呼んでいた。
…俺だけを。

ふつと、踏みしめたまま動かせない足を見下ろした。

「…この真下だ」

ぽつり零したそれを、彼は聞き逃さなかった。
俺を押しのけ真剣なまなざしで見下ろし、
「…本当だ。ここだ、間違いない」
そう確認する声が、俺の足元しゃがみ込んだ背中から聞こえた。
「お前、よく分かったな」
褒められているとうよりは、その理由を不思議がる響きだ。
肩越し見上げられても、どう返せばいいのか分からない。

呼ばれた気がして。
そんなことを言っても、信じてなどもらえないだろう。

この真下。眠っていたそれが、俺だけを呼ぶ。
その意味は、どこにあるのだろう。



(一旦停止)
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