スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

寄り添う

何もない真空に不意に一筋走るように差したのは、決して眩く輝く希望の光ではなく。
例えるならカンバスをろくに切れもしないナイフで引き裂いた時、その向こう側に潜んでいた、油臭い漆黒が見えたような瞬間、という表現の方が妥当だと思える様でした。

それは等しく漆黒。
きっと以前徹底的に真黒に塗り潰したそれの上から、無理矢理に新品のそれを張り付けて隠していたのでしょう。
しかしろくに切れもしないナイフ、とは言い得て妙かもしれません。
それは体内で不興和音を延々響かせることである時不意にかちりとそれらの周波数全てが噛み合う瞬間だけを目指した、長い長い人の夢。
毒にも薬にもならず、毒にも薬にもなりえるものでしかないのです。

結局、最初に指を伸ばし損ねたそれに、戻るしかないのかもしれません。
あなたがそうであったように、私もそれにしか添えないのかも。

私たちの最初で最後の作品は、どこまでもどこまでも徹底的に塗り潰した油臭い漆黒のみのカンバスひとつずつ。
条件は同じでも、見た者全員似ているとは決して言わない、全く違う闇でした。

一度は添えぬと目を反らしたそれにしか、私たちは寄り添えないのかもしれません。
そしてもしかしたら、あのカンバスをただひたすら無心に黒く塗り潰し重ねていた時の私たちの、本願はそこだったのかも。

揺れた白檀の手触りの向こう、ふとそう思った夏でした。

ただただ、会ったことすらないあなたの、長い、永いその夢に。
いつか私も添えますようにと。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。