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君の唇の先、僕の喉奥に潜むもの

いつもいつも、つい忘れてしまうことがある。
いつもいつも、その時だけ強く感じ、そしてその感じたことを忘れていた、と気づくこと。
そしてまたすぐに、感じたことも、忘れていたことを思い出したことをすら忘れてしまう。

降り立つ刹那、一歩目のつま先。
季節関係なく、全てを遮断するような硬い風。
ぱちん、と切れるスイッチのようにあっさり変わるその刹那、ほぅ、と吐息をつく。
陽に干した柔らかな毛布に包まり目を閉じるように、硬い風に包まれ全てを遮断して、目を閉じる。
泣きたくなるくらいの、奇妙な安心感。
それは望郷の念とは明らかに違うものだった。

どこでもいいわけではない。
そこに温度も意思もないシェルターはここだけだと強く思う。
自覚しているよりずっと、ここに頼りきり、執着していることを思い知る。
以前も同じ思いをしたことを思い出す。
そして、次の足を踏み出す時、またすっかり忘れてしまう。
その繰り返し。

追うなんて決してしない。
馴れ合いや関わり合いなど元より必要がない。
他なんて結局、どうでもいいのだ。
いちいち気にしていたらきりがない。
多量に何もかもがあって、そして何もない。
ごてごてに。
悪趣味全開で飾り立てられた宝石箱のようだと思う。
しかし箱の中身は空っぽ。
そして、箱を飾るキラキラしたものは全てフェイク、という徹底ぶり。
きっとそんなチープさに安堵するのだろう。

降り立つ刹那、一歩目のつま先。
脳の一部だけがぐわりと歪むような、目眩。
何にも例えようもない、何にも似ていない奇妙な安心感。
肺一杯に吸い込んだ、硬い風。
すとんと落ちる、

…あぁ、駄目だ。
忘れないように忘れないように、必死で脳裏で反復したというのに、あの泣きそうになるほどの奇妙な安堵感をもう忘れてしまっている。
…あぁ、駄目だ。
微熱が下がらない。
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