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今の僕にできることは?

君のためにできること。
今の僕にでもできる範囲内で、君のためにできることは何だろう。
どうにも役立たずになりがちな僕の手なんかで、君に何かしてあげられるだろうか。
まだ、何かできる力が残ってくれているだろうか。

君のためにできること。
それは不可能だってなんだって、破綻したって無理やりだって、どうにかしてやると思わせてくれる魔法の言の葉。
もし君がいなくて、僕ひとりだったら、結局何もできずに終わるかもしれないと思わせられる。
それが酷く怖いのと同時に、何故か嬉しい気持ちも湧いてくる。

君のためにできること。
それは、自分自身のためにできることよりもずっと、強力でいて不思議な力が篭っている願い。

君のために。
僕なんかにでもできることは何だろう。

悩んで悩んで、それでも答えが出てくれなくて。
ある日こっそり君に聞いてみた。
君は不思議そうに小首を傾げてこちらをまじまじ見た後、僕が真剣だと知ったのだろう、不意に悩むように眉間に皺を寄せ、しばらく唸っていたけれど、ふ、と僅か微笑むように口端を歪ませ、こちらを見た。
君の答えを待つ僕に、君はじんわり滲むような穏やかな微笑みを、こちらに挑むような強気な笑みに変えて。
その瞳の強さに思わず何を言われるのかとたじろぐ僕に、君はふと目を伏せて、

「撫でて」

そう言って、頭を僅か僕の方に差し出した。
え、
問い返す無粋な僕に、君はそれ以上何も言わずに待っている。
恐る恐る伸ばした指先が、君の髪を撫でるのを、どこか他人事のように思う。
君の願いは、だって、

戸惑いがちに君の髪を撫で続けることしかできない僕に、撫でられながら君は、

「そばにいて」

それだけを言った。

僕は君が言った言葉と、その表情がくるくる変わるスピードについていけずに目を瞬かせたけれど。
じわじわ胸の奥、滲む焦りに似たぬくもりに身を捩って苦笑した。
僕の苦笑に、君は不満そうにこちらを睨む。
聞いてきたのはそっちだろ、と言いたげに。

違う違う、と僕は苦笑をやめられないまま、軽く君に手を振って見せた。
違う。

「だってそれはだって、」

いいの?本当にそれで?
だってそれはだって、今にも泣き出してしまいそうになるくらい僕が、…嬉しいばっかりなのに。

君のためにできること。
それは大したこともできない僕に君が願うことなら何でもいいんだ。
できる範囲内のことなら。
そして、その範囲を少しばかり超えたものであっても、多少の無理なんて全然平気だと思わせてくれる力をくれる。
だけど君は、僕ばかり嬉しいことを口にする。
くるくる、表情を変えながら。
僕を翻弄しながら。

僕が、こんな手なんかで君のために何ができるだろうと途方に暮れていたことも知らないはずの君の、僕への願いは。
僕に、嬉しいばかりをくれる。

そう、その時気づいたんだ。
君の嬉しい、は、あまりに、僕にとって嬉しすぎると。
そう、ただ君に、僕は何ができるんだろうと思っていた。
ただ君に喜んでもらいたかっただけ。
僕が、嬉しいから。

残り僅かと思い込んだこの手なんかの力でも、僕は僕の嬉しい、のために、君の嬉しい、を叶えていけるんだと。
君が、教えてくれる。

「そばにいて」

それは、僕の君への願いそのもの。
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