スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

途切れても続くもの

夢を見て、何度も何度も目が覚めた。
だけどもう一度眠ると、先刻の夢の続きが始まった。
そうやって、何度も何度も目が覚めて、そしてその続きを夢に見た。

あんなに「この夢の続きが見たい」と願って目を閉じても、決して見れることはないというのに。
どうしてこんな夢ばかり。

延々と続くかと思うほどの、夢。

それはもしかしたら、ただの悪夢だったのかも、しれないけれど。


私は泣いていた。
感動してなのか、悲しかったのか、嬉しかったのか、悔しかったのか覚えていないけれど、私は号泣していた。
嗚咽を零し落とし、両手のひらで顔を覆い、へたり込んで泣いていた。
私は泣いていた。
見覚えがあるようなないような、誰の家でもない家の中で。
フローリングだったかもしれないし、絨毯が敷かれていたかもしれない。
私は誰かに何かを伝えられた途端、泣き出した。
抑えきれず、その場に座り込んで、泣いた。
伝えてきたその人が誰だったかも覚えていないけれど。
その内容も覚えていないけれど。
子供のように声を零しながら、そしてそれを押し潰すように泣いていた。
愛しい子の顔が、脳裏に浮かんだ。


目が覚めて、自分の頬に涙を探したけれど、なにもなかった。
眠りながら泣いたことくらいあるけれど、今回はなかった。

外がまだ真っ暗闇だと知って、もう一度眠った。


私は先刻まで夢で見ていた場所にいた。
もう泣いてはいなかったけれど、フローリングかも絨毯かも覚えていないところに、立っていた。
あの人がいた。
あの人の元へ歩き出そうとした時、うなじの辺りに何度も圧迫される感覚を覚えた。
スズメバチにでも刺されているかのような気がした。
耳元で、あのうるさい羽音を聞いた気がした。
あぁ、こんなところ刺されたら、死んでしまう、と思った。
昔ミツバチに指を刺されただけで酷く腫れて痺れるほどの激しい反応を示したのだから、スズメバチとなると危ないと。
だけどちっとも痛くなかった。
夢だとどこかでわかってはいたけれど。
あの人は驚いた顔をしていたかもしれないし、悲痛な顔をしていたかもしれないし、もしかしたら普通に私を見ていたかもしれない。
だけど死んでしまう、と思った。
あの人の眼前では、絶対に倒れたくないと思った。
あの人の眼前では、絶対に死にたくないと思った。
痛い顔もしたくない。苦しい顔もしたくない。
普通を装って、笑いかけようとした。


そこで、目が覚めた。

私は頬に笑みを探したけれど、ちっとも笑ってなんかいなかった。
心臓が、どきどきと早く脈打っているだけだった。

まだ外は薄明るいだけで、朝には少し時間があった。

もう一度眠った時、夢は見なかった。
ようやく、眠れた気がした。


夢を見て、何度も何度も目が覚めた。
だけどもう一度眠ると、先刻の夢の続きが始まった。
そうやって何度も何度も目が覚めて、そしてその続きを夢に見た。

最後に少しだけ、夢を見なかった。
何故か少し、寂しかった。

愛しいあの子とあの人は、今頃なにをしているのかな、と使い古した毛布の中で思った。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。