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lemon drop(処分品)

「たまには飢えさせるくらいで丁度いいんじゃねぇの?」
「酷い。飼い殺しかよ」
「それはそれは…鬼畜な発想だねぇ」

ある人が笑った。
それを受けて、ひとりが笑った。もうひとりも。
笑えなかったのは、俺と、彼だけだ。

飼い殺されたってかまわないと思っていた時期もあった。
それが何より楽に見えたからだ。
何もかも面倒くさく感じていた頃なんて、むしろ魅力的にすら思えたものだ。

飼い殺される。
飼い殺される。
このままじゃ、俺は、――――死んでしまう。

昔、誰かが嘆いた言葉を思い出す。

このままじゃ駄目になる。
このままじゃ。
…だから、逃げろ。
早く。
ここから逃げろ。
飼い殺される…!

悪夢のように繰り返し脳裏に木霊する悲痛な叫びはただ、俺と、彼の脳裏にだけこびりついて消えなかった。
他の誰の耳にも届かなかった。あの喉を酷使しすぎて掠れた声。

甘い、甘い飴の味。
それは時として苦くて息ができなくなる。
慰めだとか、労わりだとか、そんなものから程遠いところまで。
飢えて錯乱した誰かが、呪うように床に這い蹲ったまま、爪を立てた。
ぴかぴかだったフローリングに、無残な爪痕が残る。

嘆く言の葉は懐かしい痛みを呼ぶだけで、他の何にも作用などしない。
ただ謝罪の言葉を繰り返すその行為すら、自分もろとも相手を傷つけるだけだったのに。



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