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飢えた獣3

己の手のひらを見下ろして途方に暮れるのは、一体いつぶりだろうと思った。
見下ろす手のひらは、あの頃とは全く違う。
あんな小さくて貧弱だった手のひらじゃない。
もう、ずっと大きくなって、力も強くなった。
そこら辺のちょっとした荒くれ者も簡単にねじ伏せられるくらい、強くなった。
それなのに、あの頃みたいに途方に暮れている。
血にまみれた大きな手のひらを見下ろして。

この手は何のためにあるのだろう。
生きるため。
自由を勝ち取るため。
楽しむため。
…殺すため。
そう、それだけだったはずだ。
それで満足していた。
毎日毎日獲物を追いかけて、切り裂いた。
殴ったり蹴ったりするだけだと、あの女を思い出すから。
だから俺はあの女を刺し殺して思う存分切り裂いて、自由を手に入れたと同時に、この爪を手に入れた。
切り裂く肉の感触と、熱いくらいの返り血を浴びて。
命乞いをする声も、恐怖だけに彩られた目も全部心地良かった。
完全に壊れたそれを踏みにじることも。
あの女が最後に俺に教えてくれたものだ。
全部全部。
それだけで全部だ。

なのに、目の前に眠る子猫に触れようとした。
伸ばしかけた手を、止める。
触れ方が、…わからない。
ちっちゃくて弱い子猫。
ちょっと掴んで力を入れたら、簡単に壊れてしまそうだ。
違う。壊したいわけじゃない。
これは獲物じゃない。
…触れたいだけ。
なのに、触れ方がわからない。
壊れる。壊したくない。
だけど触れたい。
…何故だ?

伸ばしかけた手のひらを引っ込めて、まじまじと見下ろして途方に暮れる。
感覚をもてあます。
手のひらに汗が滲み、小さく震えていた。
あの頃よりずっと強くなったはずなのに、すごく弱く見えた。

恐怖している。怯えている。躊躇している。
この俺が?
子猫に触れることを?
俺が子猫に触れたことで、子猫が壊れることを?
俺が?
子猫が壊れることで、俺が壊れることを?
…待て。何故子猫が壊れたくらいで俺が壊れる?
今まで何でも壊してきた。殺してきた。
あの女も、数え切れない獲物たちも、全部だ。
そうやって勝ち取ってきた。
生きること。
自由。
楽しむこと。
それだけのために。
血にまみれたこの手で。自分の力で。
それでも子猫に触れたいだなんて。
ただ触れるなんて、したことないのに。
したいと思ったことなんてないのに。
触れてどうする。触れ方がわかったところで触れてどうする。
俺は、どうしたいんだ?

ただ触れたいだけだなんて、…どうかしてる。

無理やり現在の時間軸にひっぱり戻してみました。
…ら、やはりなんだか破綻の気配がぷんぷんしますね(死)。
このネタ使えないかなぁ…使えないかもなぁ…

ひっぱってみたけど、結局一人相撲。

…難しいな…
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