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先には行かせまい。

君はいつもその場所を探し探して走っているようなものだと思う。
「生き急ぐ」という言葉を体現するようにして、その走るスピードは落ちるどころか上がる一方。

君はいつもその場所を探し探してきょろきょろ周囲を見回すけれど、その場所以外に君の興味をひくものなんてないから、すぐそばにいるはずの僕も、すぐそばにあるはずの温かかったり冷たかったり柔らかかったり硬かったりするさまざまなものになんて目もくれない。

僕はまだいいとしても、それらさまざまなものは、子供だった頃の君の目にはそれはそれは鮮やかに映し出され、その透き通るような深い深い色の瞳を輝かせていたはずなのに。
一体いつから君は「その場所」にそんなにもとりつかれてしまったのだろうか。

少なくとも、僕と君が出会う前だったのが正直口惜しい。
だってさまざまなものに対して好奇心旺盛な、君本来の輝きを放つその両目を僕は見ることができなかった。
その両目に僕が映し出されることなんて、今後永遠にない。

君は僕の名を呼ぶし、僕も君の名を呼ぶけれど、僕と君の名前を口にするその声の質感の違いは歴然だ。
僕はいつだって君を探し探して走っているし、君はいつだって「その場所」を探し探して走っている。
どちらも一方通行だし、そもそも僕と君とでは走るスピードが全然違うのだから。

君はいつもその場所を、「切迫」とか「切実」とかいう言葉がぴったりなくらいの勢いで必死に探し求めている。
たったひとりでそこに到達しようとしているのが分かるから、僕はその邪魔ばかりしたくなる。

君が、君自身の人生全てを賭けて見つけ出そうとしているその場所に、君がたったひとりで到達してしまわないよう僕は君を探す。探して探して走る。

君をたったひとりそこへは行かせない。
僕は、僕自身の人生全てを賭けてそう勝手に思っている。


深い深い海の青。
広い広い空の青。

似ているようで全く違う青い世界に、僕と君はそれぞればらばらに落ちていくけれど。


君をたったひとり先へはいかせない。
僕は、どんどん走るスピードを上げる君に追いつく俊足も、誰より力強くたくましい肩先を掴む腕力も、どんなに離れても君の耳まで届かせるほどの声量ももっていないのに心底思う。

たとえ、こんなにも大切で愛しい「今」をなくしても。
たとえ、切望するほどの「光」の息が途絶えても。

君を、たったひとりこの先へはいかせない。
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ありふれた物語の終わり

そしてまた、僕らはその圧倒的なまでの温度差に怯みおののくのだ。

なくす、という状況を何度経験したところで、ただ慣れることもできないばっかりに。

ただそのままにしておくこともできないばっかりに。

卑怯さばかりを手に入れて、守る価値もないものを守り、そのせいで身動きもできない。
新しく見つけ出し許し抱きとめる勇気がないのは、またなくすことを想定すればするほど竦む臆病なまでに冷え切った手足のせいだ。

それだけ一生懸命、愛した結果だったりもするのだけれど。
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