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ごめん、と呟く刹那と、俯くタイミング

ごめん、と声には出さずに心の中で呟いた。
俺は汚いんだ。俺は卑怯なんだと、口にせずに懺悔する独白は、声に出すなりして相手に届けなければ意味がない。
むしろ、罪を自覚することで軽減させようと足掻く汚さ、卑怯さを際立たせ上塗りするだけ。

ごめん。知ってるんだと心の中で頭を下げる。
こういう時どのように振舞えば君が不快に思わずにいてくれるのか。どのような言葉を選べば君が喜ぶのか。
君を気遣って、というよりも、君に自分が嫌われないように。
君が喜べば、その喜びの万倍自分が嬉しいから。
要は自分可愛さ。
君を自分の手のひらの上で転がしたいわけじゃない。
だけど、知ってて選ぶ。
数ある選択肢の中から、君のためというこれ以上ないくらいの名目を冠に、拾い上げる。
経験がものを言う。

俺が生まれ生きてきた中で手に入れてきた全てを、後悔したことも含め、正しい意味で後悔などしたことはない。
辛いことも苦しいことも、嬉しいことも楽しいことも、そのどちらにもならない、毒にも薬にもならないことも、全部無駄であり、全部無駄ではない。
それら自分の体験や知識を駆使して君が喜んでくれるなら、君が笑ってくれるなら、君が奮い立ってくれるなら。

優しさというものは全て偽善だと思っている。
結局は自分のためなのだから。
だけど、そう言った俺に、君は言ってくれた。
偽善だと知っていて尚、それでも人に優しくできることは尊いことだと。
ならば俺が今まで生きてきた中で手に入れてきた経験も知識も想像力も全てを総動員して、俺にそんなあたたかな言葉をくれた君に優しくしようと思った。

だけど本当に臆病で汚く卑怯な俺は、やはり、ごめん、と声には出さずに心の中で呟く。
俺の選んだ行動、言葉を無垢なまでに真っ直ぐ受け止め喜んでくれる、誰より何より優しい君が、頬を緩ませ俯くタイミングで。
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昨日以上に。今日より更に。

きっと僕は、どこかで「それ」を諦めていた。
時の流れは人の心を、じわじわと。それと気づかせぬようゆっくりゆっくり変えていくことはとっくの昔に知っていたけれど、それでも、どんなに時間が流れても変わらないものだってあるのだということも知っていたからだ。

生まれ出でて、成長して、歳をとって。
大人になればなるほど、柔軟さを失って、意地とかプライドとかそういうものでカチコチに凝って、変えたくても変えられないことも増える。
その逆だってもちろんあるけれど、でも「それ」に関しては、時間が解決してくれるなんて欠片も期待していなかった。
「それ」のかたくなさを、痛いほど。そして愛しいほど知っていたから。

人は生きていくために、生きてきた過程で体験した様々なことを思い出にする。
思い出にしないと生きていけないのだ。
過去にあったことをまるで今体験しているかのように胸に抱いていたら、例えそれがどんなに幸福であたたかく優しいものであったとしても歩けなくなるからだ。
人は回遊魚と一緒だ。
動いていないと生きてはいけない。
きっと、呼吸すらできない。

悲しいことや、辛いこと。そういった重く胸の奥にのしかかるものほど、思い出という形に変換しなければ生きてなどいけない。
だから思い出にした。それは諦めと同じだった。
これ以上同じ傷を負いたくなかったし、同じ傷を負わせたくなかった。
諦めてしまえば、思い出にしてしまえば、表面上だけでも瘡蓋になってくれると知っていた。
内側がどれほど腐って爛れていようとも、蓋をしてしまえばもたせられる。生きていける。
僕らは大人になったのだ。大人として生きていかねばならないのだ。

だけど、僕のことなんて忘れてくれていいよなんて。
あなたが幸せになってくれさえすれば僕はそれで十分満たされるんだなんて。
そんなテンプレート通りの愛情深い言葉なんて嘘でも口にできなかった。
だって好きなんだ。
だって大好きなんだ。
僕は「それ」すら諦めて思い出にして、だけど、好きだった。なんて過去形になんてできなかった。
僕はきっとあなたを本当の意味で愛してなどいないのだろうと思う。
だって僕は、未だにあなたに対して無償の愛だけを注ぐことができない。
いやだと思ってしまった。
僕のあずかり知らぬどこかで、あなたが他の道で、あの頃とは違う幸せを見出して静かに生き、死んでしまうのがいやだったんだ。
エゴ丸出しのこの醜い感情は、愛などという小奇麗でふくふくとしたものでは決してない。

時間の流れは何より残酷で、誰より優しい。
いつだってそうだった。
完全に身を任せきることでなんとか呼吸を繰り返し生きて、それでいいと思ったこともあったけれど。
果たしてそれで本当に、僕は幸せなのだろうか。あなたは幸せなのだろうか。
分からない。分からない。分からないけれど。

一度諦め思い出にしたはずの「それ」を、僕は性懲りもなく求め求めて生きてきたことを、思い知った。
そして、二度目の思い出にいつかなると知っていて。
それでも求めて、胸に抱く。
愚かでも、馬鹿でも、なんでもいい。
きっと最初の傷とは違う傷を負うことになる。僕も、あなたも。
それでもいい。
だって好きだから。
だって大好きだから。

動いてないと、生きてはいけない。
きっと、呼吸すらできない。

言い訳なんて全部無駄だ。

「……だから、」

口答えのようにも聞こえる自分の言葉は、だけど心の奥底からの本心だった。

「そんな言葉じゃ納得できない」

彼は僕の本気の気持ちすら、あっさりと切り捨てた。

「本当に、」

僕は言い募るけれど。

「その程度で頷けるわけがない」

彼はやはり簡単に払いのける。


嘘だね。本当だ。安易だ。なら他に何て言えばいい。自分で考えろ。だから考えて言ってる。嘘をか。本当なんだってば。
僕らは不毛なほど行き違う言葉の応酬を、…それでもやめられないのだ。

無題。7464。

眠いなぁ、と思う。思うけれど、眠れない。
むしろ眠ろうとすればするほど眠れなくて、ただただ眠いなぁと思う。
眠いなぁ眠いなぁ。
どうして眠れないのだろう。どうしてこんなに眠いのだろう。

寒いなぁ、と思う。おなか空いたなぁ、と思う。
寂しいなぁ、と思う。静かだなぁ、と思う。

全部嘘だ。とも思う。

どうしてこんなことになったんだっけ?
僕は膝を両腕で包むようにして抱いて、目を閉じる。

眠いなぁ眠いなぁ。それが嘘だったとしても思う。



コンコン、とドアをノックするような音がして、僕は少しだけ顔を上げる。
膝頭に顎を乗せて、上目に見る。
どこから音がしているのか分からなくて、目だけできょろきょろする。

コンコン、コンコン、

あぁ君か。と思う。姿は確認できないけれど、きっと君だと僕は願う。

眠いなぁ眠いなぁと僕は思う。
ノックをし続けてくれているのはきっと君だと僕は思う。
君以外の誰もいらないと僕は願ったから、きっと君だと僕は思う。

全部嘘だったとしても。願うんだ。
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