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理由

その時折、衝動的に選んだ言葉の意味なんてないに等しい。
そのくらいに思ってくれてればいい。
沈黙と静寂の違いを痛いほど理解できているなら、それで十分だ。
それらそれぞれが伴うものの性格だって。

その時折、発作的に口から滑り落ちた言葉たちの感情なんてないに等しい。
その程度に思ってくれてればそれでいい。
一度くすんでしまったそれは一度や二度の選択で簡単に取り戻せるものではないと少しでも知っているなら、それで十分だ。

理由なんて本当は、存在しないことだって。
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欠片をもうひとつ。

少しずつ、手探るように見つけてきたものたちをパズルのように組み立てながら。
少しずつ、ピースをずらして探り探り、様子を伺いながら。
噛み合う場所と、未だぽっかりと穴を空けた場所を、交互に見やる日々です。

どんなに離れて見ても、近づいて見ても、その全体像は未だに分からないまま。
今日もまた、せめてもう少し僕に時間をください、と目を閉じることしかできませんでした。

口に出せない想いを唇の先に乗せて。
重ねるように紡いでいくのは、紫の石で繋いだ十字架の真上。
いつかここでこの難解なパズルが解ける日がきたなら、真っ直ぐ差し出せるような気がするのです。

過去を想って慈しむことも、未来を想って笑い合うことも。
何の罪にもならないことを知りました。

どっちかなんて選べないことも

「正解」と「間違い」どっちでもないことだって山盛りだ。

伸ばした指先が強請るのは、いつだって同じだった。
どうしたって埋められない隙間を嘆いたって始まらない。
どうせなら一緒に埋めていきましょう。
どうかそう言って笑うことを許してください。

「分かるよ」と「分からない」どっちでもないことだって、山盛りだった。

強請る前に手を伸ばしてくれた人は、いつだって同じだった。
どうしたって変えられない過去を嘆いたって終わらない。
ねぇ、終わりと始まりのあの日を一緒に見に行こう。
どうかそう言って笑うことを許してください。

どっちか一つを選ぶことなんてできないことだって山盛りだ。

ランナーズ・ハイ

ただ、寂しさや悲しさなどの感情を想う暇などなかっただけです。
そんなもの、自覚している時間などありえませんでしたから。
それだけ我々はそれぞれの何かに追われ、そして追っていたということです。
そのことが、幸せなのか不幸なのかすら、考える暇もありませんでした。
本当は、人は、追われ追う中心軸などなくても生きていける。
たったそれだけのことすら気づけぬままに。
余計な荷物も、帰る家も寄り添い眠る家族も持たず。

でも、きっとそれでよかったのですね。
限界を忘れて全力で走り続ける。それだけで十分だったんですね。
我々はきっと、誰より幸せだったのです。

何より、僕と君とを「我々」と、一口にできていた分余計に。


「一度ランナーズ・ハイに陥ったら、絶対に途中で立ち止まるな。一瞬でも止まったら、もう走り出せなくなっちまう」

あの時君は笑って言いました。

だけど僕は一度立ち止まってしまった。
追われ追う中心軸をなくし、人はそんなものなくても生きていけると知って愕然として。
だけど中心軸がない状態で、一体どうやって生きていけばいいのか分からなくて途方に暮れて。
ただ震えるだけで、もう動かなくなってしまった己の足を、どうすればいいのか分からず呆然と見下ろしながら。
一緒に走っていたはずなのに、いつの間にか、分かれ道をそれぞれの方向に走っていたことに気づきました。

あぁ。今頃。
今頃君は何をしているのでしょう。
どこにいるのでしょう。
まだ、君が選んだその道を、限界を忘れたまま、全力で走り続けているのでしょうか。


ただただ思い出す。

夢中でひたすら繰り返し続けた日々。
「我々」のランナーズ・ハイ。


Nothing could be more happy.



another side of <Sweet home sweet>

本当は、…本当に。

僕らは凍えていた。
もしかしたら最初から凍えていたのかもしれない。
初めて会った時すでに。
…否、出会う前からずっと。

本当は、君は僕がどれほど臆病な生き物か知っていた。
本当は、僕は君がどれほど臆病な生き物か、知っていたんだ。

僕らは確かに凍えていたけれど、過剰な臆病さが僕らの間にいつもあって。
僕らはそばにいながら、互いに凍えた手を伸ばすことができなかった。

だってそうでしょう?
一度触れた手の温かさなんて知ってしまったら、その手を離すことがとても怖くなる。
辛くなる。
寂しさなんてものを、思い知ることになる。
今より余計に凍えてしまう。
僕らはその怖さ、辛さ、寂しさを、すでにそれぞれ知っていたから余計だった。

君が僕の肩に初めて顔を埋めた時。
僕は、酷く凍えている君と、酷く凍えていた自分を思い知った。
涙なんて出なかったし、君の頬にも涙なんかなかったけれど、それでもあの刹那。
僕らは確かに泣いていた。
肩の上の君の頭を、強く抱きしめたい衝動を必死で抑えながら、僕は君の髪をぎこちなく撫でた。
そんなことしか、あの時の僕にはできなかった。
してあげられなかった。

初めて君が僕に触れたあの時。
精一杯、必死で、勇気を振り絞ってくれたのだと分かった。
勇気を振り絞って、僕らの間にいつもあった過剰な臆病さを越えてくれたのだと。
それはどれほどの勇気を要したのだろう。
恐る恐る、遠慮がちに僕の肩に顔を埋める君を見て、君は一体どれほど僕を救ってくれる気なんだろうと思いこそすれ、僕が君を拒絶するわけがないでしょう。

参ったな。
僕はひっそり苦笑した。

参ったな。

酷く凍えていた君は、酷く凍えた僕にとても。
今一人思い出すだけでも泣き出しそうになるくらい、とてつもなく温かかったのだ。

目印

鮮明な色。
繊細で華奢なものが割れる音。
知っても仕方がない。
気づいてしまったことだけが積荷になる。
近づきすぎたことで遠く離れるのなら、触れられたくはない。
決して。

僕らは一体何を犠牲に生きていくのだろう。
何を目印にすれば、見つけられるのだろう。

これ以上、触れられない言葉なんてない。

バランス

あの時、鮮明なそれを諦めたのは、別にどうでもよかったからではない。
それが鮮明であればあるほどに、流れ込む情報量があまりに濃密すぎて、この腕ではどうしても抱えきれず溢れた。
そうしてとめどなく溢れるそれが足元溜まっていき、いつか自分がその水溜りに足を取られ溺死してしまいそうで、怖かったからだ。

諦めるためなら何でもしよう。
表向きだけでも記録を抹消するためならば、生贄すら厭わない。
あの頃、抑えきれないその恐怖をごまかすため、そう固く誓った。
もろとも全部、焼却炉に投げ入れ蓋をした。
潰し、穴を穿ち、印で封をしよう。
塞ぎ、これにも穴を穿ち、印で封をしよう。
今後一切、それらに対して執着心を見せないように。
無様に縋ったりしないように。
徹底的に。完璧なまでに。
全てを「現在進行形」から「過去形」にしてしまおう。

臆病者は視界から遮断した。
舌を止めて耳を閉じる。
指先がそれらの代わりを務めはじめて途方に暮れた日もあるけれど。
毎日そうしていられるわけもなく、途方に暮れることすら、早々に諦めた。

バランスなんて、最初から取れていなかったのに。
無理に取ろうとするから、歪さが目立って仕方なくなるんだ。

謝罪の言葉はますます相手と自分を貶めるだけだと知ったのは、昔大切にしていたものことごとくを「過去形」にし終え、辛うじて歪なバランスを見出した後のこと。
そんなもの、満潮直前の波打ち際の砂の城と同じようなものだと知っていたけれど。

これもまた、今更の話。

「99.タブー」の処分品

時間と金と酸素の無駄遣いだ。って、誰かが真剣な眼差しで言った。
タバコを吸う俺に。そして、同じようにタバコを吸う彼に。
そうだね。
俺も彼も、タバコを吸いながら笑って答えた。
健康を害するだけだよ。って、誰かがそれでも真剣に言った。
そうだね。
俺も彼も、タバコを吸いながら笑って答える。
誰だっけ、この人。覚えてないんだけど。
俺と彼は黙ったまま視線で会話する。
彼はばれない程度に小さく肩を竦めて眉尻を上げるだけ。
そしてまた、性懲りもなくタバコを吸った。
真剣に忠告することに意味がないことに気づいたその「誰か」は、深く溜め息をついて席を立った。
きっとこの人は何でも「無駄」が苦手なのだろうと思った。
あぁ、やっと美味しいタバコが吸える。
俺と彼は同じように溜め息をついて肩から力を抜いた。


未成年の時から吸ってた。なんて、大概の喫煙者には共通で、今更なこと。
二十歳になったらやめようと思ってたんだよ。と笑うのが常套句みたいなもんで。
時効だよね、と笑うのも、そんなもんだよね、と返して笑うのもまた、常套句みたいなもん。

俺たちはただ、「無駄」ですら終わらないから、繰り返すだけなのに。


(停止)

忘却する、ということ

確かに、失くしたことは覚えているのだけれど。

失くしたものはなんだっけ?

もうすっかり忘れてしまった。

誰に聞いたところで分かるわけでもなし。

延々唸ったところで思い出すわけでもなし。

結局いつか、失くしたことすら忘れてしまいそうだ。

祈りを紡ぐための全て

夜が明けた空は眩いくらいの蒼。

必死に祈りながら眠れぬ夜を越えて、このまま、明日まで。

その向こうの向こうまで、届いてくれたらいいのに。



見えてきたもの。霞んだもの。
手にしたもの。失ったもの。
拾ったもの。捨てたもの。
出会ったもの。離別したもの。
知ったもの。忘れ行くもの。

流れた月日。

全てをもってして、祈りましょう。

かくれんぼ

寒さに弱い君が、震えるほど凍えていたとして。
一体私に何ができるというのだろう。
私の半端な体温では、君を温めてあげることすらできない。
君を寒さから守ってあげることすらできないのにね。

暑さに弱い私が、ぐったりと溶けてしまったとして。
一体君に何ができるというのだろう。
君の半端な体温では、私を冷やすことすらできない。
私を暑さから守ることすらできないのにね。

悲しいかな君と私は違う体温と季節に生きるしかない。
寄り添って小さくなって息を殺して隠れていたとしても、結局は鬼に見つかってしまうのだ。
風上に逃れても風下に隠れても。
炎を越えても水に沈んでも。
花弁の中を走り抜けたとしても。

君と私の温度差は、何も鬼じゃなくたってすぐに分かるほど明確だ。
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