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ブレーカー

まるで終わりなんてないみたいだった。
限界なんてどこにもなくて、いつまでもいつまでも、このままこのペースで走っていけると錯覚しそうだった。

ばちん、

それが落ちる刹那まで、歩幅もスピードも変わらなかった。

泣いて暮らせたらまだいい方だと思った。
だけどいつもあなたが僕を笑わせるから、僕は泣くこともできずにへらへら馬鹿みたいに笑う。

ばちん、

せめてそれが、今あなたの目の前にいる僕に落ちてきませんように。

このまま走れるならこのまま。
このまま笑っていられるなら、このまま。
例え泣いて暮らせなくても、あなたが僕を笑わせ走らせるなら、このままでもいい。

ただせめてあなたの目に、ブレーカーが落ちた僕が映ってしまいませんように。
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盲目。

慣れることと飽きることは、全く違うことだ。

衝動はどこまでも無様に内部に燻り続けて、果てなんてない。

君のその生命線ごと僕に全部、ください。

その代わり、僕の視界全て、君にあげましょう。

爛れ腐り落ちる寸前まで全部。

分け合うなんて生易しいことはしない。

どちらかがどちらかに喰らい尽くされるまで、僕らに本当の終わりなんてこない。

レミング

まっさらな、何も書かれていない紙片が舞う。

ばさばさひらひら。

屋上から。

雪みたい?

真夏の真昼の夢幻。

ばらばらゆらゆら。

増え過ぎた白紙たちの、自由を獲得した刹那許される空中遊び。

なんだかちょっとだけ、羨ましいんだ、それ。

真っ白な紙には、一滴垂らしたインクの黒がよく滲む。

胸骨の間

短く浅い夢の淵、君は見事に僕を誤解していた。

今の僕が、何を不満に思うものか。
そのことに関しては、満たされたり、餓えたりするような器そのもの持ち合わせてなどいないのに。
君は完全に僕を誤解している。

何を求め追い、それほどまでに焦るのか。
君が思う、これ以上もこれ以下もないほどに醜い僕は、確かにどこかに存在するのかもしれない。
だけど、今の僕はそれをそこまで不満になど思っていない。
僕は君の思うそれをもっとよく知覚すべきだと思うけれど、君はそのものの誤解を知覚すべきだ。

朦朧とした意識の淵、君は見事に僕を誤解していた。
口惜しみ苛立つほどに、明確なイメージでもって。

胸骨の間、君の、肉の際ギリギリで切った短い爪の人差し指が食い込む。
どうせならいっそ、その指で貫いてくださいよ。
君にできるものならね。
僕は半笑いで吐き捨てようとして、ぐ、と飲み下す。
それは一度口に出してしまえば、君にとっても僕にとっても、冗談なんかじゃ済んではくれない。
とても悪い癖だ。
僕も君も、相手が残酷な気持ちになればなるほど、競うように残酷さをエスカレートさせていってしまう。
切りがないほど延々と。
そして結局両者破綻することくらい、目に見えているというのに。

そろそろ目を覚ます時なのかもしれない。
この夢は、君にとっても僕にとっても、あまりに理不尽すぎる。

手と手

暑くてたまらないのはきっと、君が僕の手を掴んで離してくれないからだ。

寒くてたまらないのはきっと、君が僕の隣で遠くを指差すからだ。

だけど僕は、ちっとも不安になんて思わないよ。
君がいるせいで僕は、ここに立っているしかないのだから。
…立っていられるのだから。

置いてけぼりをくらってしまった僕たちはただ、一陣の風だけを待つ。
抑え切れない胸騒ぎばかりを噛み殺して。
ただ、ただひたすらに。
ひたすらに。

うまく言葉を見つけられない分だけ、僕は君の手を握り返して頷く。
一緒に行こ。一緒にいるよ。の代わりに。

僕は君の手を離してあげないし、君の側で君の指差す方から視線を外さない。
そのせいで君が暑がり凍えても、せめて不安に思わないでいてくれたらいい。
立っているしかない、立っていられる理由になれるといい。

下手に言葉を紡げない君が、一緒に行こ。一緒にいるよ。の代わりに、短い吐息をくれるなら。
僕はこうして、君の側に立ち続けるよ。

不意に大声で叫び、考えなしに全力で走り出したい衝動を抱えたまま、ただひたすらに、一陣の風だけを待つ僕ら。

繋いだ手と手が、僕らをここに立たせてる。

カスリ

彼らがあの場所に見た思い出と、そこで止まった時間、そこから流れた決して短くはない時間は。
この我々が息づく世界、果ては宇宙全体の流れからすれば、ほんの一瞬だっただけなのかもしれないけれど。

それでも想う。
会ったこともない人も、小さな頃にしか会っていなくて、覚えていない人も。
もう数え切れないほど私達に、優しく微笑みかけてくれた人も。
新しく出会った人も。

無機質なものにすらこの指先を伸ばし、慈しむように撫でる。
そこに感情があるような気がするのはきっと、私自身がそれを望んでいたからだ。

素直さを忘れて、だけど温もりを求める切実さは未だにその胸に抱いていて。
許してくれる存在を、いつも同じ場所で待つあの子。
柔らかなその身を強く抱しめることもできず、ただ、許すことしかできない私を許してください。
私はあなたが思うよりずっと、弱い人間なのです。
ただ、刹那だけでもあなたが安らかに目を細め、甘い夢を見られるようにと。
私はじっと息を殺し、動かずにいることしかできないのです。
あなたの小さな小さな我侭を、甘受しながら空をぼんやり見上げ、祈るように音を探すことしかできないのです。
それでも、優しく撫で、口付けましょう。
たった一度だけでも、そしてあなたがこの手でも、この唇でもいいと言ってくれるなら。
せめて別れ際くらい、またこうして会えることを祈っているというせめてもの証に。

風は通り抜け、雨は土を濡らし、森は呼吸を繰り返し、水は川を流れる。
それだけが全て。
あなたはそこで生き、私は遠く離れたここで生きる。
彼らが紡いだ、私達よりずっと長い時を、真似ることもできずにただ。
この我々が息づく世界、果ては宇宙全体の流れからすれば、ほんの一瞬なのかもしれないけれど。
それでも連綿と受け継ぐものを知っているのだから。

もう私には、これ以上何も持てない。

寄り添う

何もない真空に不意に一筋走るように差したのは、決して眩く輝く希望の光ではなく。
例えるならカンバスをろくに切れもしないナイフで引き裂いた時、その向こう側に潜んでいた、油臭い漆黒が見えたような瞬間、という表現の方が妥当だと思える様でした。

それは等しく漆黒。
きっと以前徹底的に真黒に塗り潰したそれの上から、無理矢理に新品のそれを張り付けて隠していたのでしょう。
しかしろくに切れもしないナイフ、とは言い得て妙かもしれません。
それは体内で不興和音を延々響かせることである時不意にかちりとそれらの周波数全てが噛み合う瞬間だけを目指した、長い長い人の夢。
毒にも薬にもならず、毒にも薬にもなりえるものでしかないのです。

結局、最初に指を伸ばし損ねたそれに、戻るしかないのかもしれません。
あなたがそうであったように、私もそれにしか添えないのかも。

私たちの最初で最後の作品は、どこまでもどこまでも徹底的に塗り潰した油臭い漆黒のみのカンバスひとつずつ。
条件は同じでも、見た者全員似ているとは決して言わない、全く違う闇でした。

一度は添えぬと目を反らしたそれにしか、私たちは寄り添えないのかもしれません。
そしてもしかしたら、あのカンバスをただひたすら無心に黒く塗り潰し重ねていた時の私たちの、本願はそこだったのかも。

揺れた白檀の手触りの向こう、ふとそう思った夏でした。

ただただ、会ったことすらないあなたの、長い、永いその夢に。
いつか私も添えますようにと。

噛み癖について

あんなにも欲しがった酸素を思いきり吸い込んで、吐き出す作業。
足元おざなりに投げ出したのは、一体どんな性格をしたものだっただろうか。

まだまだ僕らには重ねるべき時間が足りていない。
圧倒的に。

知らないふりをしてみたり、聞きたくても聞けなくて我慢したりを繰り返して。

ねぇ、毎日をこうして過ごせたら。
時々僕は、そんなことを思う。
君の指を、噛みながら。
誰より変化を求めて、誰より変化を嫌う日々を、それでもこうして。

Ambivalence

いつでも想ってる。
ただひたすらに、あなただけを。

だからいつでも想ってて。
ただひたすらに、僕だけを。

そうやって僕達は、互いに依存し合いながら執着し合いながら。
そうすることで呼吸すらままならないほど苦しく辛い、この想いを抱えて歩く。

いつでも、あなたの声は聞こえているよ。

僕を呼ぶあなたの声だけは、絶対に。

コーラルブルーの水中から

ゆらりゆらゆら。

夢見るように。

どこまでも遠く、心元ないほどに透き通った、綺麗すぎて生き物の一切住めない、コーラルブルーの水中から。

君を呼ぶ僕の声が、コバルトブルーの空中漂う、君に届くだろうか。

同じ青の中に生きるはずの僕と君は、

ゆらりゆらゆら。

夢見るように。

揺れる水越し、空を漂う君を見つける。

君が吸える酸素と、僕が吸える酸素は違うけれど、どちらかがどちらかに溺れてしまえば、関係ないよね。

もがく。足掻く。

今までただ、漂っていた水中から。

君に引き摺りあげられるか、君を引き摺り下ろすか。

ゆらりゆらゆら。

夢見るように、君を想う。

おはじき

ぺたり。
板張りのその上で、ぺたり。座り込んで。
己の周囲に散らばる光を、見回してみる。

それはおはじきだ、と思う。
ひとつひとつ、無限大の可能性を秘めた透明な硝子の中。
不規則に走る色はどれも、全く同じものなんてなかった。

赤い斜線も黄色のマーブルも青の雫も白の螺旋も緑の糸も。
染まるそれは全てを覆ってしまうことも、そして他に干渉し変えることもしない。

それはおはじきだ、と思う。
己の周囲に散らばる光。

人差し指を伸ばし、触れる温度と質感は、このまま口に含んでしまいたいくらい愛しい。
溶けることもなく、飲み込むことなんて決してできないけれど。

それはおはじき。

ひとつひとつ集めてみても、気づけば己の周囲に散らばる光。

ぺたり。乱暴な板張りのその上で、ぺたり。座り込んで。
ひとつひとつ光を愛しみ、慈しみ、許し、守るように。
そして解き放つように。

それはおはじき。
指先で弾くと、硬質で涼しげな音を立てるそれは、光。
それらに周囲を囲まれて、荒い板張りのその上、ぺたり。座り込む。

それはおはじき。
それは、光。
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