スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

僕らはいつも

僕らはいつも、許しの時を待っている。
何を許してほしいのか、誰に許してほしいのかもわからず、それでも待っている。
待ちわびているんだ。

僕らはいつも、還る場所を探している。
どこに還りたいのか、どうして還りたいのかもわからず、それでも探している。
探し回っているんだ。

そして、僕らはいつも、祈りの言葉を紡いでる。
理想を。愛しい存在の幸福を。
安らぎを。
そして、自分を祈ってくれる、君を。

僕らはまだ許されず、還ることもかなわないけれど。
それでも待ちわび、探し回り、そして紡ぐ。
いつの間にかぐしゃぐしゃに絡まってしまった細い糸を、時間をかけて丁寧に解きほぐすようにして、僕らは辛うじて立って。
よくない視力でもって必死に目を凝らし、そうやって。
僕らはありとあらゆるものをかき集め、積み上げ、その上に蹲って、危ういバランスをとりながら、生きる。

いつか許されることを。
いつか還る場所を見つけ出すことを。
いつか、祈りが届くことを。

いつも全力で、願ってる。

そして、いつか僕らが、出会って、重なり積み上げてきた全てが塵になってしまうとしても。
そして、いつか僕ら自身が、それらを見送ることができなくても。
贖えないままでも。
決してその刹那に、無様に縋るだけの汚れた手を、互いに伸ばさないでいられますように。
スポンサーサイト

4つの窓

思ったよりもずっと、それは差し迫っていたことのようで。
ぐらりと揺れ、今にも倒れ込んでしまいそうな刹那を、酷く生々しく感じたものです。
そのあまりの切羽詰り具合に、焦燥感ばかり。

「人には、4つの窓があるのを知ってる?」

昔、ある人が僕に言った言葉を、ふと思い出しました。

「1つめは、自分も他人も知ってる窓。2つめは、自分しか知らない窓。3つめは、他人しか知らない窓。そして、4つめは自分も他人も知らない窓」

その時の僕は思春期に入ったばかりで、いつも考え事ばかりしていた子供だったので、自分のことは自分だけが知っている、と、指折り数えるあの人の大人な横顔に悔しい思いをしたものです。
きっと、あの人が自分よりずっと先を見ていることを。
そして、その人の言うことをどこかで理解し、己の幼さ、浅はかさを知り、そのことを心底悔やんだのでしょう。

いつか、4つの窓全てを覗きたいと無謀を願ったのは。
思春期のなせる業だったのでしょうか。
まだ、自分でも知らぬ窓がある。
僕はまだ、2つの窓しか知らない。
一生そのままかもしれないけれど、せめてその窓から見えるものを増やしたいと思う。
それは、思春期をとうに過ぎた僕が未だに思うこと。

今日、ぐらついたのはきっと、4つ目の窓だったのでしょう。
焦燥感しか感じない、だけどそれは紛れもない真実でした。
否、現実、でした。
まざまざと眼前突きつけられた現実に、僕は呆然とするばかり。
だけど知った。
そう、知ったのです。
どうすればそれが改善されるかはまだ分からないけれど。
知覚したことを、また見失わないように。

またひとつ、噛み潰して飲み下す。
そうそれが、どんなに焦燥感に駆られるような現実であっても。

ある眩い早朝のこと

それはまだ薄暗い朝方、たった一羽、野外に網を張って作ったとても広い運動場に閉じ込められ鳴く鳥のように。
外界となんら変わらぬ風の匂いを嗅ぎ、日の出を知り、季節の移り変わりを感じられ、存分に羽ばたくことも可能なのに、そこから飛び立つことはできなかったのです。

優しくない「キミ」が好きでした。
ただ走り逃げ惑うだけの私が、気づけばその広大な網の中にいたことに気づいたのは、その網そのものだった「キミ」が壊れた後でした。
壊れてしまうまで網そのものが「キミ」であったことに気づけず。
網の中、周囲取り巻く状況も知らず走り続けていた私は、「キミ」の目にどのように見えていたのでしょうか。

「キミ」は私に存分に動き回れるだけのスペースを与え、好きなようにさせました。
私は決められた範囲内を動き回れるだけで自由と勘違いし、己の風切り羽を抜き捨てました。
もうそれは必要がなかったのです。
私は飛ぶことに意義を見出せなくなっておりましたし、その場所は存分に、私が遠く離れたかった場所から離れておりました。
否、無意識自らを囲う網にも気づいていたのかもしれません。
一切の優しさをこちらに見せない「キミ」が作り上げた、「キミ」そのものの網の中、私はここにならばいられると。
ここにいれば、もうあてどなく逃げ回らなくてもいい、と、どこかで安心していたのだと思います。

私はただ、疲れ切っておりました。
逃げ惑うても逃げ惑うても、あの場所から離れられない気がして、いつも恐れておりました。
ぬくもりも優しさも穏やかさも、過去の記憶に関連するものは全て遠ざけ、それでも不意に伸ばされた手にそれを思い出しては叫び、振り切ろうとひたすら走りました。
そう、ただそれらに疲れ切っていただけなのです。

疲れ切った私は、その時すでに修正もきかぬほど歪んでおりました。
何一つ鮮明に感じ入ることもできず、表面をただ上滑りしていくだけの全てを、網越しにぼんやりとやりすごしながら。
しかしその網の中、私はずっと欲していた、溜息をつく刹那を手に入れました。
溜息をつけるようになった私は、気づけば「キミ」ばかりを眺めて過ごすようになっておりました。
いくらずっと見つめていても、「キミ」と私の視線が合うことは、結局、ただの一度もありませんでした。
常時歪んだ視界しか視えず、不誠実な言葉しか吐けず、正常に働かない感覚しか持っていない私に、それでも、「キミ」は何も言いませんでした。
視線もくれず手も出さず。
私をたったひとり、広大な野外運動場に閉じ込めてくれました。
いつしか走り疲れた私が、その場にへたり込んでも、何も。
「キミ」は、私にちっとも優しくしなかった。
「キミ」は最初から最後まで、私に優しくなかった。
そんな「キミ」だからこそ、私は自らここに行き着いたのだと思います。

そう、私はただひたすらに、優しくない「キミ」が好きでした。

それはある日突然訪れるものだと知っておりました。
私は元々、その残骸から逃げ惑っておりましたから。
逃げ惑い辿り着いたのが、ここだったのです。
ですから、いつかここも、あの場所と同じようになる時がくることくらい、歪んだ視界でもよく分かっておりました。
ただ、自ら風切り羽を抜き捨てた時、もしその時がきても、あの時のようにただひたすら逃げ惑うことはやめようと思っておりました。
「キミ」だった残骸から逃げず、むしろそれを手のひらに大切に掬い取り、喰らってやろうとすら。
歪み疲れた私に、溜息をつく刹那をくれた、ちっとも優しくなかった「キミ」の残骸ひとつひとつ。
私はそれすら許し慈しみ、愛そうと。

そう、いつしか私は覚悟をしていたのです。
「キミ」が壊れるその刹那を。
そして、その時がきたら。私は、「キミ」を喰らう。
血液の一滴も、肉片のかけらすら残さず、時間をかけてでも全て喰らう。
「キミ」が望む望まないに関わらず、私はそう決めておりました。
「キミ」の意思は未だ見えません。
私に対して何を願っていたのか、ちっとも分からないままです。
ただそれでも、やはり不意に訪れた日から、「キミ」を食む日々が始まったのです。
私はもう怯えあてどなく逃げ惑うことなどできませんし、しようと思いません。
それは、逃げ惑い疲れ果て、辿り着いたここで風切り羽を自ら抜き捨てた、歪んだこの身が選択したこと。
私はあの日からずっと、未だここにおります。
「キミ」だった残骸の真上、抜き捨てた風切り羽の行方すら考えず。
すでにここに行き着いた時点で疲れ切っていた私にとって、ちっとも優しくなかった「キミ」は本当に救いでしたから。
もう二度と飛べなくても、走れなくてもいい。
そう思って、己の羽を毟ったのですから。

「キミ」がほんの少しでも私に優しかったなら、今の私はありえなかったでしょう。
溜息すらつけず、今もひたすら逃げ惑っていたか。
力尽きてどこかで野たれ死んでいたでしょう。
あの懐かしくも愛しい残骸と、全く違う「キミ」が、ここにあってくれてよかった。

どこまでもどこまでも、ちっとも優しくなかった「キミ」を、私は今でも愛しています。

ある激しい夕立のこと

そう、ある日突然、その日は訪れてしまったのです。
そう、それは突然激しく空から地に這う我々を打ち据える雷雨のようでした。

あれからどれほどの年月が経ったのでしょう。
その流れは我々の意識の表を上滑りするだけで、何一つ明確な感触を残してはくれませんでした。

それは、完全に排除することなど到底叶わず、かといって完全な形で保存することもできないものでした。
あの時の我々に、あの行為以外の何ができたと言うのでしょう。

「アナタ」がいなくなった日。
それは明確に日付をつけることすら叶わぬほど曖昧な日。

「アナタ」は、我々を包み込み守ってくれていた羊水のような存在でした。
痛みを伴うほどの、早朝降り積った新雪の輝きを直視した時に感じる、目眩のような尊い優しさだけを、記憶しております。
月光のような穏やかさは冴え冴えと澄み渡り、繰り返す言の葉はどこまでも我々と「アナタ」とを結ぶため、そして我々を生かし、呼吸をさせるためだけにありました。
さながら、母体と連結するへその緒のよう。
そう、我々は文字通り、「アナタ」なしには生きていかれないほどに。

ある日突然、何の前触れもなく羊水は決壊しました。
ありえてはならない年月が腐らせてしまったのかもしれません。
我々は切ないほどに愛しいまどろみの途中で、突然、荒野に放り出されてしまったのです。

「アナタ」がいなくなった日。
それは、明確な数字など覚えていられぬほど曖昧な記憶。

「アナタ」越しに見る世界はそれはそれはとても美しく、優しく、穏やかでした。
「アナタ」に包まれ守られ過ごした日々は、どれほどの何をもってしても敵わぬほど。
ありとあらゆるどんな苦痛も耐えられるほど、「アナタ」は我々にとって優しかった。
「アナタ」という存在さえあってくれるのならば、我々は何があっても、立っていられると信じられるほど。
強く生きていけると思うほど。
我々を守る「アナタ」を守るためならば、どんな手段も辞さぬと歯を食いしばるとも容易かった。
とにかく、どこまでもどこまでも、ひたすらに優しかったのです。

アァそれなのに「アナタ」は不意に我々の眼前から消えてしまった。
懐かしむほどの愛しさとぬくもりの中から、我々は突然何の用意も覚悟もないまま投げ出され、無理やりにでも産声をあげさせられてしまった。
耳に痛いほどの金切り声を上げて、我々は再度生まれてしまったのです。
しかし生れ落ちたその場所は荒野。
無理な出産のために我々の色彩感覚は壊され、触覚も知覚も味覚も聴覚も全てが歪んでしまいました。
それまで自然に内包していた己を見失ってしまいました。
それでも生きることを強いられた歪な我々は抗い、「アナタ」があった場所から走り去ることしかできませんでした。
ばしゃり。
雨水より少しだけ粘着質な、ただひたすらに優しかったはずの水音を踏みつけて。

振り返ってはいけない。
それは想像から妄想、いつしか憑つく妄執へと変化しておりました。
そう、結局最初から最後まで、覚悟などつけられぬままだったのです。
背後爪を立て圧し掛かるそれから逃れるように、我々は無我夢中で「アナタ」の残骸残る羊水の水溜りから逃れました。
愛することすら当たり前のようだった「アナタ」から。
ばりばりと乾き痛む皮膚すら無視して。
しかしそれを責めることなど、誰にもできないのです。

「アナタ」はこの結果をすら知っていたのかもしれません。
知っていて尚、それでも。
己の内に大切に守ってきた我々を解放し、「アナタ」自身をも解放したのかもしれません。
我々は「アナタ」に守られ、「アナタ」を守ると決意した時点で「アナタ」の元を離れることなどできなくなっておりましたし、「アナタ」は我々という守るべき存在と、それを守らねば成り立たぬよう自ら仕向けた罠に、身動きが取れぬほど雁字搦めに囚われていたのですから。

アァなんと乱暴な自由戦争だったのでしょう。
滑稽だと笑われてしまいそうなほどに、「アナタ」と我々は、ただ自爆しただけなのです。
路頭に迷い出てしまったのは、我々だけではないというのに。

それでも「アナタ」は最後の最期まで、優しかった。
過去、「アナタ」が神と呼んだあの人が、「アナタ」の眼前からある日突然姿を消した時と同じように。
それを真似るように、「アナタ」は我々の中に育んだ全てを持ち去っていってくれたからです。
「アナタ」は痛む己をも省みず、我々を空っぽにして、もろとも壊れてしまった。
そして、数年経ってこうして気づいてしまった我々のために、「アナタ」らしい優しさばかりの言霊を、タイムカプセルのように後々触れられるように工夫して残していってくれました。

「アナタ」が、我々の内部もろともいなくなった日。
あの日から我々はただただ、流れるがままの年月を重ね、色彩も感情も己も、何一つ確かめられぬまま走り続けておりました。
背後無様にもつれた足跡ばかりを残しながら、しかし振り返ることもできず。
我々はただひたすらに切ないほど懐かしい優しさを拒絶し続けながら。

そう、もう我々は「アナタ」以外の優しさの中に生きられないのです。

そう、ですからきっと、あの後私があの場所に行き着いたのは、必然だったのだろうと思います。
もはや散り散りになってしまった我々の行き場は、どこにせよ「アナタ」の元でもなく、優しい場所でもなかった。

しかし私はあの後己が下した選択を、後悔してなどおりません。
最初から、ある日突然我々を放り出した「アナタ」のように、それは前触れもなく不意にくるものだと知っていて。
そして歪んだまま治ることない色彩、無様なあらゆる感覚のままでも。
いなくなって後にすら、我々に唯一残してくれた、ただひたすらに優しい言霊を抱いたまま離せなくても。
それでも選んだあの場所は、

だって、私にちっとも、優しくなかったんだもの。

少しずつ

少しずつ少しずつ、積み重ねることを放棄していた指先で

僅かじりじり、手繰り寄せるように

「還っておいで」

手を差し伸べ優しく微笑むことは、安易な覚悟じゃかなわない

「おかえりなさい」

広げた手のひら、あたたかく迎えることはさほど難しくないはずだった

それはすでに成せる場所にある

「あいしてるよ」

言い含めるようにそっと

強くあることで、やっと優しくなれるなら

きっと全て、嘘にならないでいてくれるはず

さぁ、抱きしめてあげましょう

「安心していいよ。もうおやすみ」

おいで

役立たずだったこの指で、あなたを呼び続けましょう

あなたが本当に、還ってこられるまでずっと

きぼうのひかり

君はまた、歩き出すだろうか。
君はまた、その声で訴えるのだろうか。
君はまた、その指先で己の歩むべき道を指すのだろうか。
君はまた、意志の強いひかりを宿した瞳でもって、

そして僕らは君のように、また、時に歯噛みしながらそれでも尚、僕ららしく生きていかれるのだろうか。
生きていられるのだろうか。

分厚い雲間、僅か見えた青空はきっと、君にとっても僕らにとっても、きぼうのひかり。

あの時の眩さを、まだちゃんと覚えているよ。

しわくちゃ

「仕方ない」

そう言って溜息交じりに諦められるものももちろんあれど、全部じゃない。
全部なわけがない。

「仕方ない」

そう言って微苦笑でごまかせるものももちろんあれど、決して全部じゃない。

「仕方ない」

口癖のように。
自分に言い聞かせるように繰り返してきた言葉だけれど。

強く握り締めた手のひらの中、いつの間にかしわくちゃになってしまったのは。
どうしても手放せなかった、改ざんされた残像。

あぁ、気づけばへとへとだ。

笑話。

久しぶりに思い出したのは。
寂しくて苦しい、実にイタイだけの昔話。
それでも僕は笑って君に話そう。
そう、もう全部笑い話になってしまったのだ。

子供の頃は、どんなものでも大事にしまいこんだ。
他人からすればくだらないゴミでもなんでも。
一度目にし耳にしたものは、いつか忘れてしまっても完全に脳から消えてしまうわけではないと知って、すごく安心した。
積み上げる無駄な全てだけが、僕の呼吸するための熱量だった。
そう、至極くだらない全てが。

それでも僕は君に笑って話そう。
君も僕もいつか死んで、無意識無存在になって。
生きていた証拠も記憶もいつか全部なくなって、完全な意味で「無」になるだろう。
だけど、君と僕は、同時に「無」になれないし、ならない。
1秒差で死ぬとしても、それでもいいから。
その僅か1秒先に、君が。僕が。
確かに、互いの目の前で生きて、呼吸をして、笑ったり苦しんだりしたことを、覚えていてほしい。覚えていたいと思う。
そう、それがどれほど傲慢で卑屈な、人間のエゴ丸出しの願いだとしても。

君の過去。
僕の過去。
似たようなできごとも、想像もできないほどの違いも。
全部は無理だけど、できるだけ。
そしてほんの少しだけ。
笑って話をしよう。

君と僕は無駄に生まれ、無駄を無駄に愛しながら生きて。
いつか無駄に死ぬ。
無駄な命を完全な「無」に還すために。

無理してまで誰の役に立たなくってもいい。
立派な人間になんてならなくてもいい。
だって僕らはそもそも「無駄」なのだから。
だから楽に、無駄に生きて死のうよ。
無駄を愛しながらさ。
そして、無に還った後、1秒でも無駄な自分を残そう。
思い出せなくっても、完全には消えない何かを。
そして1秒先に完全な「無」に還ろう。

僕らは探しても意味のない、無駄な答えを探している。
自分の肉体の許容範囲を超えた、無駄な泥を抱えたままで。

そう、最初から全ては無駄な笑い話なのだ。

せめて舌先に最後の一滴を

足りないのは結局最後まで。
どれほど満たそうと足掻いたところで、完璧に満ち足りることなんてないのだから。

いつも僕の進むべき道程の先を歩く君が、せめてあの光の中でだけでも笑っていられますように。
僕の祈りはずっと同じだよ。

空っぽになったペットボトルを必死で傾けて、からからに乾いた君の舌先を潤すために。
せめて最後の一滴を君に。

Colors

探した夜空に月はなく、今夜のその色を確かめることができなかった。
夜空には、一番星がたった独り。
ぽつり。輝くだけ。

手繰る記憶の中。
昨夜見つけた月は、とろりと濃い黄色。
先月見た月は、滲むようなオレンジ。
昔見上げた月は、冴え冴えと青白く。

あの時魅入った月は、朱かった。

その形などいちいち覚えていない。
私にとって造形は些細な問題だった。
ただ、その色だけは。
もはや何をもそのまま映せぬまでに汚れ歪んだ、この役立たずなレンズの内側深く、沁み込むようにただ。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。