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始終

始まりがあればいつか終わりも来るものだと。

去来するものが教えてくれたのは確かなのだけれど。

いつも計算違いをしてしまう指先が、辛うじて捕らえるのは。

今にも燃え尽きようとする、紫煙揺れる短い煙草だけだったりする。

どうしようもないものは、言葉にできないものと同様、沢山ありすぎて数え切れない。
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安直

容易く「絶対」なんて言えるはずがない。

人間は可能性と不可能性に満ちている。

可変と不変の狭間は、単にそれらの間にあるわけではないから。

030402

まだ。
未だ。
眠りたくない。
眠りにつきたくないんだ。
眠ってしまったら、この夢が。
過去の甘くて切ない夢が、醒めてしまいそうで。
溶けて消えてしまいそうで。
酷く怖いんだ。
眠ったら醒めてしまう。
眠ってはいけない。
酷く怖い。

神様。神様。父なる神様。
もし本当にあなたがいるのなら、このまま時間を止めてください。
神様。神様。父なる神様。
もしあなたが本当にいたとして、どうして私達を見捨てたのか教えてください。

まだ。
未だ。
眠りたくない。
眠ってはいけない。
眠ってしまったら、この感覚が。この感情が。この感傷が。
昔の懐かしい夢が、醒めてしまう。
儚く薄れ消えてしまいそうで。
酷く怖いんだ。
眠ってしまったら、醒めてしまう。
眠ってはいけない。
酷く怖い。

神様。神様。我等が父なる神様。
もし本当は私達を見捨てていないのだとしたら、どうかお声をお聞かせください。
お導きください。
お救いください。
見えていたものすら見えなくなった私の目を、もう一度開いてください。
見続けることのできる夢を見せてください。
切実に祈り守る力をください。

まだ。
未だ。
眠れない。

わがままな指先

誰あろうアナタがこの指を振り払ってくれなければ。

僕は伸ばしたまま行き場もないこの指を、下げることなどできないのです。

アナタでなければ決して。

似非童話「待ち人」

昔々。
それは願い事ならなんでも叶っていたくらい昔のお話。

ある雪深い街に、ひとりの青年がおりました。
大体の人間は大人になるために平気で、生まれた時に神様からたった一度だけ授かる、子供にしか見えないものが沢山見える大切な瞳を、簡単になくしてしまいますが、この青年はその瞳をとても大切に持ち続けておりました。
家族が差し出す何の変哲もない銀のスプーンの、少し傷が入ってくすんだ光すら彼の瞳にはとても眩しく見え、このきらめきすら簡単に慣れてしまうなんてとってももったいない、と思うのでした。
そしてそれで掬い取って口に運ぶものは何でも素晴らしいものに感じられ、いつも特別な気分でその銀のスプーンを手に持ったものです。

ある日、青年の住む街に大雪が降りました。
青年の住む街にはいつも雪に埋もれておりましたが、いつもよりももっと柔らかで美しい大雪に、青年はその白の眩しさに驚き、大変喜びました。
音もなく降り積もる白は、夜から朝にかけて、街のありとあらゆるものを埋めてしまいました。
そしてそれは昼になっても、また夜になっても降り止むこともなく、後から後から空の高みから降り落ちます。
家族の者も近所の者も皆その雪の量に恐れ戦き、家が重みに潰されてしまわぬよう、屋根から雪下ろしをしたり、雪かきをしたりしました。
それでも雪は止みません。
人々は憂鬱げに。そして次第に不安げに空を見上げるようになりました。
たった一人。
神様からのたった一度だけ授かる瞳を大切に持ち続けていた青年以外は。

青年は毎夜ベッドの中で祈ります。
どうかこのまま、雪が止まりませんように、と。
どんどん降り続けて、全て美しく、真白に包み込んでくださいますように、と。
青年のその願いが通じたのか、それとも神様は元よりそのつもりだったのか、空から降り落ちる雪は止むことがありませんでした。
街に住む大人は皆、雪かきや心配事で疲れ果てておりました。
そしてとうとう、この街を捨てて移住することにしたのです。
しかし青年は留まると決め、大きな荷物を両手いっぱいに雪の中に消えていく家族や、友人や、大人たちを見送りました。
青年はたったひとりになってしまいましたが、それでもこの街を愛しておりましたし、何より自分の祈りが叶っていくのがとても嬉しかったのです。

そうして、もう土も建物も何もかも、真白に埋め尽くされて。
青年はたったひとり、どこまでも続く雪原を歩いておりました。
とてもとても寒かったけれど、そんなこと気にならないほどでした。
空からは、後から後から、雪が舞い降ります。
青年は、全て埋まってしまった街にひとりで微笑みました。
それはとても美しく、目に眩いほどの白の光。
そうして口端から零れる息が、白を越えて凍りそうなほどの中。
真白で何もない雪原にぽつり、ひとつの大きな雪だるまがおりました。
いつの間に誰が作ったのでしょう。
それはもう身体の半分ほど埋まってしまっておりました。
青年は全く同じ白の中から、器用に雪だるまの身体を傷つけないよう、掘り起こしました。
雪だるまの身体に、何か光るものが埋まっていることに気づき、それをそっと取り出してみると、それは銀のスプーンでした。
それはやはり少し傷が入ってくすんだ光を放ち、青年の瞳には眩く思えるものでした。
「…何をしているの」
青年は雪だるまに問いかけます。
雪だるまは答えません。
青年は雪だるまの隣に座り、あの日祈った夜から晴れない空を見上げます。
ふと、隣の雪だるまを見やりました。
「誰かを待っているの」
青年は雪だるまに話しかけ続けました。
しかし、雪だるまは答えてくれません。
あぁそうか、
青年は灰色の雲に覆われた空を見上げます。
「このスプーンを君に返すよ」
そういって、スプーンを元の場所に戻しました。
すると、不思議なことに雪だるまが僅か震えるように動いたかと思うと、青年の方を見ました。
「君は誰を待っているの。もう誰も戻ってこないよ。君が溶けて消えてしまわない限り」
青年はその言葉に目を瞬かせます。
「どうして僕が溶けて消える?それは君の方だろ」
青年は不思議な雪だるまに僅か微笑みかけました。
すると、こちらを向いていた雪だるまが僅か、悲しげに目を細めました。
「君の祈りは、ここまで」
そう言って、銀のスプーンを差し出してくれました。
それを受け取るために手を伸ばそうとして、青年は愕然としました。
伸ばす手がなかったのです。
そして、雪だるまから伸びる手は人間のそれでした。
驚いて顔を上げると、そこには自分とそっくりの姿をした人間の姿。
「いやだ!」
青年は叫びました。
すると、スプーンを差し出していた雪だるまだった自分そっくりの人間が、さっとかき消えました。
後に残るのは、青年の祈った真白な何もない雪原。
ぽつり、銀のスプーンが落ちているだけです。
あぁそうか、
青年はやっと我に返ります。
これが、本来魂なき己がそれでも神様に慈悲をいただいて見た、儚い一時の夢だったのだ、と。

ある雪に閉ざされ住むものもいなくなった街がありました。
しかしその街を捨てた人々はどうしてもその街が忘れられなくて、春になって、その街へと戻ってきました。
そこには、もう殆ど溶けてしまった大きな雪だるまがぽつり、芽吹いた新芽のそば。
何故か傷が入ってくすんだ銀のスプーンを内側に抱いたまま、あるだけでした。

昔々。
それはどんな者でも願い事ならなんでも叶っていたくらい昔のお話。

古いメモの一斉処分。

呪いの言葉を吐く。
己への呪いの呪文である。
拘束して拘束して。
息の根が止まるまで。

---

必死で隠してきた。
両腕で掻き抱き隠し守ってきたものが、他人にとってどれほど陳腐なものだったとしても。
それでも。
絶対に曝け出すわけにはいかなかった。
なんとしてでも隠し通す。
このまま死ぬまで守り通す。
触れさせるわけにはいかない。
許す刹那すらない。
隙など与えてなるものか。
そうして大切に包み込んで飾った箱の中身が、本当は空っぽだったとしても。

---

触れるのが、好き。
人の肌ってどうしてこんなに。
それは君だから?
初めて触れた時、助けてくれるみたいだって、思った。
立ちすくんだ迷子を、見つけてくれるみたいだって。
それだけ君は、あたたかいんだよ。
不意に駄目になりそうになるんだ。
時々、分からなくなるんだ。
途方に暮れた迷子を、導いてくれるみたいだ。
それだけ君は、光なんだよ。

---

流れ着いたここ。ふらふらしてたのに。捕まえた。
広大な海の中、漂うイカダみたいに。
行き場なんて元よりなくて。
流れ流れて、ただ引っかかっているだけの、危うい漂流物だとして。
君は僕をそっと波間から拾い上げて、微笑んでくれるのは何故か。
オカエリなんて言葉を吐いてくれるのは何故か。
泣いてしまいそうなほど優しいのは何故か。
流れる水流に追いつけず溺れ、体温も体力も気力も酸素も何もかも奪われた僕に。
君は手を差し伸べてキスをしてくれるのは何故。

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「41.眠い」の処分品

時々、だけれど。
時々、自分の頭がなんだか重たいものに感じる時がある。
頭痛とか具合が悪いとかじゃなく、物質的に、重たいものなんだな、と自覚する感じ。
首の筋肉が不意に頭を支えるのを手抜きする感じ。
ぐらり、重たいなぁ、と、ぼんやり思う。
高い高いところから、人が落下する時。
足から飛び込んでも、自然頭が下になるんだそうだ。
それは実際に重たいからなんだろう。
重たいなぁ。
ぼんやり思う。

落下。

そういえば。
眠くて眠くてたまらない時。なのに妙に意識が冴えてて眠れない時。
真っ暗闇の中。ベッドに潜り込んで、行儀よく仰向けになって、目を閉じた時。
ぐぐぐ、と、頭だけが布団の中に埋もれていくような感覚がある。
まるでベッドもマットもシーツも透ける手が下から伸びてきて、頭を鷲掴みにして、下に引き込むみたいに。
だけど頭はシーツもマットもベッドも透けないから、ぐぐぐ、とめり込むだけで。
痛くない。
ただ、堕ちていく感じがする。
頭だけ。

落下。

頭だけ。
頭から。
頭って重たいなぁ。と、なんとなく思う。

こんな、妙に頭の重さを自覚してしまう時。
いつも、目を閉じてみる。
眠たいわけではなんだけど、妙に頭が休息を欲している気がするからだ。
ぐらり、やっぱり重たいのだけれど。
目を閉じるとつい、重たい頭は後ろに倒れようとする。
がし。
後頭部を鷲掴みにされる感覚。
…あれ。
今、布団の中じゃないんだけど。
横になってない。ソファに座ってたはず。重力の負荷の方向は、正しく俺に教えてくれる。
俺は、確かに座っている。
それに何だろ。頭を掴む手が生々しくて、ちょっと痛い。
引っ張るどころか、支えてくれてる感じも今までと違う。
うっすら、目を開く。

「あれ。寝てたんじゃなかったの。起こしちゃった?」

声が降ってくる。
否、横から右耳に滑り込んでくる。
「…あれ」
ぼんやりした声が、喉と介して舌と唇を僅かに震わせた。
自覚はある。

「寝るんなら肩貸してやっから。後ろに倒れないで」
このソファ、背凭れ低いから後ろ倒れて寝たら顔が上向いちゃうし。そしたら後から肩凝るよ。
声はきちんと聞こえる。
でも、なんだかうとうとしてる最中みたいにはっきりしない。
すると、ぐい、掴まれた頭が少し横に促された。
乱暴じゃないけど、でもちょっと強引な感じだ。
だけどうとうとしたままの俺が、そのままされるがまま頭を傾けると、コトリ、頭が柔らかいような、固いような何かに引っかかってそれ以上傾かない。
あぁ、心地いいかもしれない。
そう思う。
その温度は自分の重たい頭と違うけど、似た温度で。
その匂いは自分の身体に纏うものと違うけど、きっと種類が似ているもので。
…なんだか安心した。

落ちない。

あぁ、これも覚えがある。知ってる。
うとうとしながら思い出すけれど、もう一度瞼を開く気になれなかった。
「………、く、ん」
声だけ絞り出そうとするけれど、うまく出なかった。
あぁもどかしいなぁとか思いながら、だけどもう、あまりに心地良くて。
「うん? 大丈夫だよ、まだもう少し寝てていいよ」
起こしてあげるから。
先刻よりずっと近くで、少し喉元で絞ったような優しい声が聞こえる。
うん。
思わず甘えて頷くけれど、ちゃんと頷けたどうかわからない。
少し右側に凭れるようにして、俺はきっとこのまま転寝をしてしまうんだろうな、と他人事のように思う。



(停止)

寓話

あくまで。
どこまでも身勝手に破り捨てたのは、確かに後戻りのきかないものだったけれど。
結果的にはそれによって自由を獲得できたと言うのだから、いいじゃないか。
ついでに、遮るものをも全部蹴り壊してみよう。
ここは風がよく通る場所。
風通しがいいよ。お陰で日当たりも良好。
気持ちいいもんだね。

足元、粉々になった色々なものの破片と紙くず。
咥え煙草のまま、踏みしだいて笑ってやるといい。

君は本当は、最初から誰より自由だったのだから。
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