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不甲斐ない大人

どうかあの人に優しく温かな光を。
そう祈るのはまぎれもなくただの他力本願。
どんだけ不甲斐ないのか。
どうかあの人が柔らかな幸福に満ち満ちた笑みを零してくれますように。
そう願うのもまさしくただの他力本願。
あぁ不甲斐ない。

分かってもらうばかりで、分かってあげられてない。
すごくもどかしい。
ごめんね。
大好き。
ありがとう。
心から思うのはそればかり。
奇麗事とかじゃなくて、それしかない。
どうしたらお返しできるかわかんない。

ただ、待つしかできないなんてどうなの。
あなたどんだけ大人なの。
救われるのはいつもあたしってどうなの。

大昔。あたしが生まれるずぅっとずぅっと昔。
偉い人は言いました。

「その人を救ってくれと神に懇願して叶えられるものなどない。普段その人をどれほど自分が想っているか。その質量と同じだけしかその人には救いはこない。
悪が自分に降り注ぐのは、それだけ自分が悪を振り撒いているからだ。
それこそが因果。それこそが業」
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呼吸。

どうして命がけで生まれてくるのか。
どうして命がけで生きるのか。
どうして命がけで産み育むのか。
どうして命はそれぞれ命がけで連綿と紡がれていくのか。

どうしてそれらは儚いのか。

すぐそばで新たな命が生まれて育ち、呼吸をしていた。
あったかくて柔らかくて、よわっちかった。
だけど確かに生きていた。
とてもとても、嬉しかった。
何度も呼吸を確かめた。
何度も手を触れてぬくもりを確かめた。
唇を触れて、指先を触れて、抱き締めた。

きっと同じことをしていた。
あたしだけじゃない。
きっと同じことをしていた。
あなただけじゃない。

生まれてくるのはどうして。
生きて死ぬのはどうして。

それらに意味はあるのか。
意義はあるというのか。

代わってあげられないから悔しい。
それでも代わってあげたいから悔しい。
太陽がひとつ、沈んでしまった。
あたしの知らないうちに、あたしが確かに誕生を心から祝福した太陽が。

どうして。

あたしは別れが怖いから出会いもいらないと思ってしまうほど弱い。
だけど出会えたこと、確かに至福と思ったよ。
だからせめて、守ってあげたいと。
誰より愛してあげたいと思うのに。

あなたが心から愛したのは確か。
沢山の祝福が降り積もったことも確か。
忘れないことも、確か。

あたしは非生産的な人生しか送れない。
だけど、小さい命を慄くほど愛してる。
どうしようもない距離の間、埋める術なんて知らないけれど。
祈ることしかできないあたしを許してなんて請えないけれど。

忘れないこと、愛すること、祈ること。
それだけは絶えないよ。

生まれる刹那が重要だと言うけれど、生きていく奇跡も重要だ。

ご冥福をお祈りしますなんてそう安々と口になんてできない。
ただ、天国があるとしたらそこにいるようにと祈るだけ。
沢山降り積もった愛と祝福を、知ってるようにと祈るだけ。

神様は残酷だ。

ただ単に

悩んでいるわけではない。

患っているわけではない。

病んでいるわけではない。

困っているわけではない。

焦っているわけではない。

怒っているわけではない。

嘆いているわけではない。

恨んでいるわけではない。


だからって、幸せなわけでも嬉しいわけでも。

ましてや愛してるわけでもない。



あなたは知らないみたいだから、この際だし、言っておくよ。

どうでもいい。

知らない。

好きにすれば。

触らないで。
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